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第11章:実践演習と最終チェック ~合格力を高める~

  • by
しかくん

これまでの章で、行政書士試験で問われる主要な法律科目や一般知識について学んできました。最終章となる本章では、いよいよ学習の総仕上げとして、「実践演習」「最終チェック」に焦点を当てます。

インプットした知識を本番で得点に繋げるためには、各問題形式への適切な対策と、効率的なアウトプット学習が不可欠です。この章で学ぶ戦略と方法論を実践することで、合格力を飛躍的に高めることができるでしょう。


11.1 記述式対策:得点源にするための思考プロセス

記述式問題は、配点が高く、合否を分ける重要な得点源となります。漠然と解答するのではなく、明確な思考プロセスを持って臨むことが、高得点への鍵です。

11.1.1 記述式問題の出題傾向

  • 配点:行政法2問(各20点)、民法1問(20点)の計3問、合計60点満点。
  • 問われる能力
    • 正確な知識:条文や判例の知識を正確に記述できるか。
    • 論理的思考力:問題文の事実関係を正確に把握し、法的な論点を抽出し、筋道を立てて解答を構成できるか。
    • 応用力:複数の知識を組み合わせて、具体的な事例に当てはめて解答できるか。
    • 表現力:限られた字数の中で、簡潔かつ的確に表現できるか。

11.1.2 解答作成のステップ

  1. 問題文の分析
    • 事実関係の正確な把握:登場人物、日時、場所、出来事の順序などを正確に読み取る。
    • キーワードの特定:問題の核心となる単語やフレーズ(例:「取消し」「無効」「時効」「権利能力」など)に〇をつけるなどして識別する。
    • 問われている内容の明確化:設問が具体的に何を求めているのか(例:「Xは何を主張すべきか」「結論と理由を述べよ」)を把握する。
  2. 論点抽出
    • 問題文の事実関係から、どのような法律上の争点(論点)があるのかを見つけ出す。
    • 関連する条文や判例を頭の中で想起する。
  3. 骨子作成(答案構成)
    • 制限字数に収まるよう、解答の全体像と流れを組み立てる。
    • 結論→理由(根拠条文・判例)→具体的事実の当てはめ、といった論理的な構成を意識する。
    • 各要素に割り当てる字数配分も考慮する。
  4. 表現の工夫とキーワードの選定
    • 簡潔かつ明確な表現:回りくどい表現を避け、一文一義を心がける。
    • 専門用語の正確な使用:法律用語を正しく使う。
    • キーワードの選定:採点者が評価するであろうキーワード(例:「無権代理」「善管注意義務」「契約不適合責任」など)を盛り込む。
  5. 解答の記述
    • 骨子に基づいて、実際に解答を記述する。
    • 字数制限を意識し、不必要な表現は削る。
  6. 最終チェック
    • 誤字脱字、表現の誤りがないか。
    • 論理的な破綻がないか。
    • 設問に対する全ての要求を満たしているか。
    • 制限字数に収まっているか。

【ポイント】

記述式は、単なる暗記ではなく「理解」と「応用」が求められます。上記のステップを繰り返し練習し、「考え方」を身につけましょう。


11.2 多肢選択式・五肢択一式対策:効果的な選択肢の見極め方

多肢選択式(一般知識等)と五肢択一式(法令科目)は、試験の大部分を占めます。効率的に正解を見極めるためのテクニックを習得しましょう。

11.2.1 各選択肢問題の解法テクニック

  • 問題文の読み込み
    • 設問の条件や指示(「正しいものはどれか」「誤っているものはどれか」「~の組み合わせとして適切なものを選べ」など)を正確に把握する。
    • 肯定形か否定形かを見落とさないように注意する。
  • 各選択肢の吟味
    • 一つ一つの選択肢を、○(正しい)△(判断保留)×(誤り)の記号をつけながら慎重に検討する。
    • 選択肢のどこが正しく、どこが誤っているのかを具体的に特定する。
  • 知識の適用
    • 関連する条文や判例の知識を正確に引き出し、選択肢と照合する。
    • 不確かな知識で安易に判断せず、一旦保留する。

11.2.2 消去法

  • 正解を直接選ぶのが難しい場合でも、明らかに誤っている選択肢を消去していくことで、正解に近づくことができます。
  • 残った選択肢の中から、最も可能性の高いものを選ぶ。

11.2.3 時間配分

  • 1問あたりの回答時間を意識し、時間切れにならないようにペース配分を管理する。
  • 迷う問題に時間をかけすぎず、一旦飛ばして他の問題を先に解く勇気も必要です。

11.2.4 知識の整理法

  • 問題演習を通じて、自分の知識の穴や偏りを把握する。
  • 類似の概念や、対立する概念(例:無効と取消し、解除と合意解除)を比較整理する。
  • 論点を図や表にしてまとめるなど、視覚的に整理することで記憶に定着しやすくなります。

11.3 過去問徹底活用術:インプットとアウトプットの橋渡し

過去問は、行政書士試験の「宝の山」です。過去問を徹底的に活用することで、合格への道を大きく切り拓くことができます。

11.3.1 過去問の重要性

  • 出題傾向の把握:どのような分野から、どのような形式で、どの程度の深さで出題されるのかがわかる。
  • 頻出論点の特定:繰り返し問われる重要な条文や判例、概念を把握できる。
  • 時間配分の練習:本番を想定した時間感覚を養える。
  • 知識の定着:インプットした知識をアウトプットすることで、記憶が強化される。

11.3.2 年度別・分野別過去問演習の進め方

  1. 年度別演習
    • 目的:本番と同じ形式で、試験全体の時間配分や問題構成に慣れる。
    • 時期:学習が進み、ある程度の知識が定着してから。模擬試験の代わりに活用することもできます。
  2. 分野別演習
    • 目的:特定の科目の知識を深め、苦手分野を克服する。
    • 時期:インプット学習と並行して、各分野の学習が終わるたびに。

11.3.3 間違った問題の分析方法

  • なぜ間違えたのか?:単に知識がなかったのか、問題文の読み間違いか、論理的思考が不足していたのかなど、原因を特定する。
  • 関連知識の再確認:間違えた問題に関連する条文、判例、概念を参考書で確認し、周辺知識まで含めて理解を深める。
  • ノートにまとめる:間違えやすいポイントや、重要な論点を自分なりの言葉でまとめる。

11.3.4 過去問から論点を広げる学習法

  • 過去問の肢一つ一つを丁寧に検討し、なぜその肢が正解(不正解)なのかを説明できるようにする。
  • 問題に出てきた条文や判例について、その背景や趣旨まで踏み込んで理解する。
  • 一つの問題から、関連する他の論点(例:錯誤の問題から詐欺・強迫を再確認する)へと知識を広げていく。

11.4 弱点克服のための重点学習ガイド

合格力を高めるためには、自分の弱点を正確に把握し、効率的に克服することが重要です。

11.4.1 頻出分野の再確認

  • 過去問分析から明らかになった頻出分野(例:行政手続法、行政不服審査法、国家賠償法、民法の意思表示・代理・時効、会社法の機関など)は、特に重点的に復習する。
  • これらの分野は、繰り返し出題されるため、確実に得点源にする必要があります。

11.4.2 苦手な判例・条文の克服法

  • 判例
    • 判例の事案(どのような事実関係で争われたか)を理解する。
    • 判旨(裁判所の最終的な判断)と、その理由を明確にする。
    • 似たような事案や対立する判例があれば、比較して整理する。
  • 条文
    • 条文を「読む」だけでなく「解釈する」意識を持つ。
    • 各条文がどのような目的で定められているのか、他の条文との関係はどうなっているのかを理解する。
    • 重要な条文は、条文集を繰り返し読み、条文の番号やキーワードを記憶する努力も必要です。

11.4.3 分野横断的な知識整理

  • 試験問題は、一つの分野だけでなく、複数の分野にまたがる複合問題が出題されることもあります。
  • 例:民法の契約不適合責任と債務不履行、行政法と国家賠償法など。
  • 異なる分野の知識を関連付けて整理することで、応用力が身につきます。
  • 独自のまとめノートや図を作成し、全体像を把握する努力をしましょう。

11.5 模擬試験の活用法と本番シミュレーション

模擬試験は、本番に向けての最終調整であり、自分の実力を客観的に測る貴重な機会です。

11.5.1 模擬試験の選び方と復習のポイント

  • 選び方
    • 信頼できる予備校や団体が実施しているものを選ぶ。
    • 解説が丁寧で、復習に役立つものを選ぶ。
  • 復習のポイント
    • 得点と順位だけでなく、自分の弱点(どの分野が苦手か、どの問題形式で失点が多いか)を把握する。
    • 間違えた問題は、過去問演習と同様に徹底的に分析し、関連知識を再確認する。
    • 時間配分が適切だったかを確認し、改善点を見つける。

11.5.2 試験当日の時間配分と戦略

  • 全体像の把握:試験開始前に問題全体のページ数や構成を確認し、大まかな時間配分を決める。
  • 得意分野から解く:自信のある問題から先に解くことで、スムーズにスタートし、心理的な余裕を作る。
  • 記述式問題への対応
    • 後回しにしすぎると時間がなくなる可能性があるため、ある程度の時間(例:30~40分程度)を確保する。
    • 最初から完璧を目指さず、まずは骨子を作成し、核となる部分を記述する。
  • 一般知識等の足切り対策
    • 一般知識等は、必ず足切り点を超えることを意識して取り組む。
    • 不得意な分野は捨てずに、基本的な問題だけでも確実に得点できるよう準備する。

11.5.3 メンタルコントロール

  • 前日の過ごし方:無理な詰め込み学習は避け、早めに就寝する。
  • 当日の心構え
    • 落ち着いて問題に取り組む。
    • 難しい問題に出会っても焦らず、一旦飛ばして冷静に対応する。
    • 合格への強い意志を持つ。
  • 適度なリラックス:試験中に緊張を感じたら、深呼吸をするなどしてリラックスを心がける。

行政書士試験は、長期間にわたる学習と努力が求められる試験です。このWeb参考書を通して身につけた知識と、本章で学んだ実践的な演習・最終チェックの戦略を融合させることで、あなたの合格はぐっと近づくはずです。

諦めずに最後まで努力を続け、自信を持って本番に臨んでください。合格を心よりお祈り申し上げます!

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